2013年に発売された、結ばない靴ひも「キャタピラン」。今ではアスリートからも支持をされる人気商品へと成長しました。どうやってこの靴ひもが誕生し、人気になったのか。開発者 梶原隆司(株式会社ツインズ代表取締役社長)にキャタピランの誕生秘話、今後の展開を聞きました。
アイデアは、シューズのかかとを踏む子供の姿から。
今では様々なシーンでご活用いただいているキャタピランですが、最初は「息子にシューズのかかとを踏むのをやめさせたい」という私の個人的な思いからスタートしました。かかとを踏むことでシューズの機能性はダウン、消耗も早まり、転倒の危険もでてきます。もちろん印象も良くありません。
ただ最近の住宅事情では玄関も狭く、立ったまま靴を履かなければいけない場面が多くあります。しかも出勤、登校の朝の時間は急いでいることが多く、ゆっくり靴を履く余裕もありません。
そんなことを考えていた矢先、スポーツクラブでフランス製の伸縮性のある靴ひもに出会いました。そこで結ばない靴ひもキャタピラン開発のヒントを得たのです。
商品開発にこだわり、ランナーに人気の商品へ。
「靴の不便さを靴ひもで解決したい」そう思った私は、中国の工場に開発の相談に行きました。それから完成までの2年半、ひもタイプのシューズを徹底的に調査しました。キャタピランは伸縮性のあるひもと等間隔についたコブが特徴です。このコブの大きさと強度の調整が難しく、段ボール3カートン分の試作品を無駄にしながら何度も作り直しました。
「簡単に脱ぎ履きができて、踵を踏まなくなる」そんな目的で作った靴ひもでしたが、知人のランナーから「ランニングに向いている」と指摘を受けてから、スポーツへと目が向きました。実際に私が片方は従来の靴ひも、片方はキャタピランを装着して走ってみると、10㌔くらいで左右のふくらはぎの張りに差が感じられました。従来の靴ひもをつけた方のふくらはぎが張っていたのです。
そしてその試走結果が表す通り、2013年の発売以降、キャタピランは「フィット感がアップし、足の負担が軽くなる靴ひも」としてマラソン市場でも人気商品となりました。
多様な消費者ニーズに応える為、国内生産へ切り替え
その後、キャタピーゴルフ、キャタピーアスリート、キャタピービジネスなどの新商品も発売。またファッションブランドとのコラボ商品の販売、マラソン大会用のオリジナルカラー作成など新たな展開も増えていきました。2015年には千葉県・船橋市が認定する地元を代表する産品ブランド「ふなばしセレクション」にも選ばれました。こうして生産量の増加とともに、認知度も上がっていきました。
そんな中「チームのオリジナルカラーのキャタピランを作りたい」という声が寄せられるようになったんです。中国では小ロット生産が難しく、短時間でお客様のご要望に応えることができないこともあり、2016年4月より国内に生産ラインを構築しました。機械化で人件費を抑えることで、小ロット生産も可能になり、品質管理も徹底できるようになりました。
キャタピランの技術で新商品を!夢は世界のスタンダード
現在は靴ひも以外でのキャタピランの商品開発も進めています。「コブがあるので絡みづらい」「伸縮性があるので動きやすい」「カラーバリエーションが豊富」そんなキャタピランの特徴を考えるといくつもアイデアが浮かんできます。因みにこれまでにもキャタピランを使ったセーフティコードが商品化され、ヒット商品となりました。そんなキャタピラン関連商品をどんどん誕生させたいと思っています。
もうひとつ力を注いでいるのが、海外展開です。これまでに海外で開催されたスポーツ用品の展示会にも何度か出品し、海外バイヤーからも好感触を得ています。すでにアメリカ、シンガポールでの販売も始まっています。今後もアジア、欧米、中東などに販路を拡大していく予定です。キャタピランを世界のスタンダーとにしていきたいと思っています。
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