ランニング・マラソンで足が痛い原因と対策
靴擦れ・マメ・足の甲の痛み・むくみを防ぐ方法

結論:足のトラブルの多くは「シューズのフィット」と「靴ひもの締め具合」から見直せます

ランニングやマラソンで起きる靴擦れ・マメ・足の甲の痛み・むくみは、どれも「足とシューズの合い方」が関わる足のトラブルです。靴ひもがゆるすぎると足が靴の中で動いて擦れ、きつすぎると甲が圧迫されます。対策は、サイズ・靴下・締め方の3つを順に確かめることです。

靴ひもがゆるすぎる場合と、きつすぎる場合に起きやすい足のトラブルの比較図

この記事では、シューズと靴ひもが関係する足の痛みを扱います。膝や足裏の痛みが続く、腫れやしびれがあるときは、自己判断せず医療機関に相談してください。

悩み 主な原因 まず試したい対策
靴擦れ・マメ 摩擦、汗による蒸れ、サイズのズレ、靴ひものゆるみ 吸湿速乾の靴下、擦れやすい所にワセリン、かかとを固定する「ヒールロック」
足の甲が痛い 靴ひもの締めすぎ、硬いシュータン(ベロ)、甲の高さ 甲の部分だけ締めを弱める、痛む穴を飛ばす「窓あけ」
むくみで締めつけがつらい 長時間の走行で足が膨らむ、走る前の締め具合のまま つま先側はゆとりを残す、痛みが強いときはコースの端に寄って締め直す

どの対策も、本番で初めて試さないことが大切です。練習のロング走で一度試してから、レースで使いましょう。

なぜレース後半に足が痛くなるの?

走り始めに合わせた「足とシューズの合い方」が、走っているうちに変わるからです。スタート時にちょうどよかった靴も、後半にはゆるすぎたり、きつすぎたりします。

  • 汗で蒸れる:靴の中が湿ると皮膚がふやけて、摩擦に弱くなります。雨や給水で靴下が濡れたときも同じです。
  • 足が膨らむ:足は1日のうちにもむくみ、運動の後にも膨らみます。米国整形外科学会(AAOS)が、シューズの試し履きを1日の終わりや運動の後に勧めているのは、このためです。走る前の締め具合のままだと、甲やつま先が圧迫されやすくなります。
  • 疲れで着地が乱れる:フォームが崩れると、靴の中で足が前後左右に動きやすくなります。かかとや指の擦れにつながります。
  • 靴ひもがゆるむ:走行中の衝撃で結び目や交差部分が少しずつゆるむと、足を支える力が落ちます。

つまり、対策は「走り始めの状態」ではなく、「後半の足」を想定して準備することがポイントです。

靴擦れ・マメを防ぐには?

「摩擦」と「湿り気」を減らすことが基本です。米国皮膚科学会(AAD)も、合う靴と吸湿性のある靴下、擦れやすい所へのワセリンなどを予防策に挙げています。

マメができる仕組み

靴の中で足が動き、同じ場所が何度もこすれると、皮膚の内側に水ぶくれ(マメ)ができます。汗で皮膚がふやけると、さらにできやすくなります。できやすい場所は、かかと、足の指、指の付け根の足裏です。

マメや靴擦れができやすい、かかと・足の指・指の付け根を示した足の図

予防の5つのポイント

  1. シューズのサイズを確かめる:一番長い指の先に、約1.3cm(1/2インチ)のゆとりがあるかが目安です。かかとがシューズにしっかり収まり、指を動かせることも確かめます。試し履きは夕方か運動後に、本番で履く靴下で行います(AAOS)。
  2. 靴下を選ぶ:綿より、汗を吸って乾きやすい化学繊維の靴下が向いています。指の間にマメができやすい人は、5本指ソックスも選択肢です。
  3. 擦れやすい所を守る:過去にマメができた所には、ワセリンを塗るか、保護テープを貼っておきます。
  4. かかとを固定する:かかとが浮いて擦れる人は、靴ひもの「ヒールロック」を試してみましょう(手順は下)。
  5. 新品のシューズを本番で使わない:練習で何度か履き、長い距離を走って問題がないか確かめてから本番に使います。

かかとを固定する「ヒールロック」の手順

多くのランニングシューズには、足首側に使われない穴が1つあります。この穴を使うと、かかとを固定しながら、甲やつま先は締めすぎずに済みます。

ヒールロックの結び方を4つの手順で示した図
  1. いつもどおり、最後の穴の手前まで靴ひもを通します。
  2. 左右それぞれ、同じ側の最後の穴に外から通し、小さな輪を作ります。
  3. 右の靴ひもを左の輪に、左の靴ひもを右の輪に通します。
  4. 下向きに引いて足首まわりを締め、いつもどおり結びます。

足首まわりがきつすぎると痛みの原因になるので、練習で締め具合を調べておきましょう。

マメができてしまったら

  • 基本はつぶさず、清潔にして絆創膏などでゆるく覆います。つぶすと、そこから感染することがあるためです。
  • 皮がむけてしまったときも、残った皮ははがさずに保護します。
  • 赤み、膿、痛みや腫れが増すとき、大きくて歩けないほど痛むときは、医療機関に相談してください。

足の甲が痛い・むくみで締めつけがつらいときは?

靴ひもを「全部同じ強さで、きつく締める」のをやめることから始めます。足首側はしっかり留め、甲からつま先側は締めすぎないのが基本です。

甲が痛くなる仕組み

足の甲には、指を動かす腱が通っています。靴ひもとシュータン(ベロ)がこの部分を押し続けると、甲にズキズキした痛みが出ることがあります。締めすぎのほか、新しいシューズの硬いシュータン、甲が高い足、走行中のむくみも原因になります。

全部をきつく締めると、どうなる?

研究データ

筑波大学の研究グループは、靴ひもの結び方と足裏の圧力の関係を調べています(日本体力医学会大会 2021年発表)。健常な成人男性11名が片脚で立った状態を測ったところ、ひもを全部きつく締めた条件では、足裏の中足部(土踏まずのあたり)にかかる最大の荷重と圧力が、つま先側を締めすぎない条件より高くなりました。足裏の接触面積は、どちらの条件でも同じ程度でした。

「強く締めるほどフィットする」とは限らないことがわかります。

今日からできる締め方の工夫

足の甲の痛む部分だけ靴ひもを交差させずに通す「窓あけ」の図
  1. 締め具合に強弱をつける:足首に近い2〜3穴でかかとを留め、つま先側は指で軽く引く程度にします。
  2. 痛む場所を「窓あけ」する:痛む部分の穴だけ、ひもを交差させずに縦にまっすぐ通し、次の穴から交差を戻します。甲の一点にかかる圧を減らす方法です。
  3. シュータンを整える:シュータンが左右にずれたり、しわになったりしていないか確かめます。
  4. 走りながら調整する:痛みが強いときは、後ろのランナーに気を付けてコースの端に寄り、甲の部分だけ緩めます。

むくみで締めつけがつらいとき

長い距離を走ると、足は少しずつ膨らみます。スタート前に「ちょうどいい」締め具合は、後半にはきつく感じることがあります。スタート時は甲とつま先側に少しゆとりを残し、気になったら早めに締め直しましょう。

医療機関に相談したいサイン

走っていないときも痛む、押すと強く痛む、腫れや熱っぽさがある、しびれが続くときは、靴ひも以外の原因(骨や腱のケガなど)のこともあります。無理に走らず、医療機関に相談してください。

レース前・当日のチェックリスト

足のトラブルは、準備の段階で多くを防げます。保存して、レース前と当日に見返してください。

レース前まで

  • 本番のシューズで、練習のロング走を1回以上走った
  • 本番で履く靴下を決め、そのシューズで試した
  • 足の爪を切った(切りすぎない)
  • 過去にマメができた場所を確認し、テープやワセリンを用意した
  • 靴ひもに傷みや、ほつれがないか確認した

当日スタート前

  • 擦れやすい場所にワセリン、またはテープを付けた
  • 靴下にしわやたるみがない
  • シュータンが左右にずれていない
  • 足首側はしっかり、つま先側は締めすぎていない
  • 結び目を確認し、余ったひもが長すぎない

レース中

  • 甲の痛みが強いときは、後ろのランナーに気を付けてコースの端に寄り、締め直す
  • 靴の中が擦れ始めたら、我慢して走り続けない

靴ひもを見直すという選択肢

ここまでの対策は、どの靴ひもでも試せます。そのうえで「走るうちに締め具合が変わる」「結び直す手間を減らしたい」と感じる人は、靴ひもそのものを変える方法もあります。CATERPYでは、性格の違う2種類の靴ひもを作っています。

ランニングシューズに通したCATERPYとMAGICLACE
項目 CATERPY(キャタピー) MAGICLACE(マジックレース)
タイプ 結ばない、伸縮する靴ひも 結んで使う、スポーツ向けの靴ひも
しくみ コブ状のふくらみが靴ひも穴に引っかかって留まる。ひも全体が伸び縮みする 1本の中で伸び方を変えている。つま先側はよく伸び、甲の中ほどは伸びにくい
特長 ひも全体にコブがあるので、足の形に合わせて部分ごとに締め具合を変えられる。一人ひとりの足に合ったフィット感に整えやすい ひもを通すだけで、甲はしっかり支え、つま先側は足指の動きを妨げにくい
こんな人に 結び直しの手間をなくしたい。自分の足の形に合わせて調整したい 結ぶ感覚は残したい。甲はしっかり支えたい
研究データ

筑波大学による伸縮性靴ひもの研究(CATERPYが協力)では、伸縮性靴ひもを使うと、歩行とジョギングで足が地面についている間の中盤に、足裏の接地面積が増えました(日本体力医学会大会で発表)。この研究は伸縮性靴ひも全般を対象にしたもので、特定の商品を評価したものではありません。

伸縮する靴ひもでも、強く締めすぎれば痛みの原因になります。使い始めは短い距離で試し、締め具合を調整してから長い距離に使いましょう。

お使いのシューズに合うCATERPYの長さと通し方は、CATERPY FITで診断できます。

よくある質問

マメはつぶしてもいいですか?

基本はつぶさず、清潔にして覆っておきます。つぶすと、そこから感染することがあるためです。大きくて痛みが強いときは、医療機関に相談してください。

レース当日に新しいシューズを履いてもいいですか?

おすすめしません。練習で長い距離を走り、擦れや痛みが出ないことを確かめたシューズを使いましょう。

レース中に甲が痛くなったら、靴ひもを緩めてもいいですか?

はい。痛みが強いときは、後ろのランナーに気を付けてコースの端に寄り、甲の部分だけを緩めます。足首側まで緩めると、今度はかかとが擦れやすくなるので注意してください。

ワセリンはどこに塗ればいいですか?

過去にマメができた所、かかと、指の間など、擦れやすい所に薄く塗ります。どこが擦れやすいかは、練習のロング走で確かめておきましょう。

結ばない靴ひもは、フルマラソンでも使えますか?

使えます。ただし、靴ひもを替えたらすぐ本番に使わず、練習で締め具合を確かめてから使ってください。

参考文献

  • American Academy of Orthopaedic Surgeons(OrthoInfo)「Athletic Shoes」
  • American Academy of Dermatology「How to prevent and treat blisters」
  • Canadian Running Magazine「Lace bite: what it is and how to avoid it」
  • (筑波大学)「シューレースの結び方が足底圧に及ぼす影響」日本体力医学会大会(2021年)ポスター発表
  • (筑波大学)「伸縮性シューレースが足底圧および足背圧に及ぼす影響」日本体力医学会大会 ポスター発表